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Rinascimento

重たい雲が頭上近くまで垂れ込めて、押しつぶされるのではないかと思うほど灰色一色のロンバルディアの冬空に、時折強風が吹き、美しい山々の姿をくっきりと映し出す頃。くねくねしたコモ湖畔等をドライブしていると、土手にぽつりぽつり愛らしい小さな花を見つける。“春一番ちゃん”のプリムラ。まだダウンコートに包まるほどの寒さでも、春への予感で途端に心が軽くなる。

そして間もなく、森や公園の芝の上に可憐なマーガレットが一斉に咲き始める。辺りが一気に明るくなり花々が歌い出す。

その変様は見事なほどで、土の中でじっと寒さに耐えていた生命たちが再び命を吹き返す蘇りのとき。

うりずんの訪れに先駆けて、やんばるの山肌に突如姿を現すのは、燃えるような赤いケラマツツジ。南国の沖縄でも冬の間は緑が暗く静かなやんばるの森では、ケラマツツジは春の目覚めのお告げ。

そしてイタジイの若緑が輝き、森はお喋りな女の子のように饒舌になり、最も華やかな季節を迎える。

“新しい季節が来たら 恋人よ スズランを摘みに クロウタドリの歌を聞きに森へ行こうよ。。。

“雄鹿はその美しい角を水鏡で映してご満悦。野苺を摘みに行った恋人同士のかごを持つ指がからまる”愛の季節”。Villanelle/La nuits d’été/Berlioz より

長い長い寒さは風が吹いて消え去り、重いコートを脱ぎ捨て、全てが蘇るRinascimentoの季節。

今日の三宅島は、まるで古きを一掃するかのように、朝から強い風が吹き荒れています。

そして、光を増した庭や竹藪の中では鶯が飛び交い高らかに歌っています。

明日はPasqua 復活祭🌿